小児科 
-治療について-

入院は小児科疾患のみならず、小児の術前術後患者やNICU退院から在宅に向けての重症心身障害児の移行も受け入れており、小児病棟としての機能を果たしています。
主な疾患は、内分泌・代謝疾患(甲状腺疾患・副腎疾患・GH負荷試験)糖尿病、アレルギー疾患(喘息・食物負荷試験)、呼吸器疾患、消化器疾患、神経筋疾患(てんかん・脳腫瘍・細菌性髄膜炎・脳症・脊髄性筋萎縮症など)、免疫疾患(ITP・JIA・HPS・CGD・無ガンマグロブリン血症など)、腎疾患(ネフローゼ症候群・紫斑病性腎炎・腎盂腎炎など、)川崎病、代謝疾患(糖尿病、骨形成不全症、Menkes病、Lesch-Nyhan症候群など)、染色体異常(9トリソミー・18トリソミーなど)、重症心身障害児、心身症その他(起立性調節障害、拒食症、発達障害など)です。

内分泌分野では、甲状腺機能亢進症や甲状腺機能低下症、思春期早発症や思春期遅発症、低身長症などを診ています。なかでも低身長に対する成長ホルモン療法に力を入れており、低身長外来では専門の医師・看護師・薬剤師がチームを組んで初診時のご相談から、精密検査、治療までを専門のスタッフでフォローしており、また、講演などを通して普及活動にも力を入れています。多くの方が初診で相談に来られており、成長ホルモン負荷テストを受けていただいています。現在治療中の方も200名以上おられ、現在も毎月新たに治療される方が増えている状況です。また、成長ホルモン製剤の治療も行っています。
低身長外来(水曜日&木曜日午後):吉田担当

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代謝疾患ではトリメチルアミン尿症は西日本で唯一診察している病院として、全国から相談を受け、受診して頂いています。またMenkes病やLesch-Nyhan症候群や骨形成不全症など稀少な疾患も診断・フォローしています。

アレルギー分野では、アレルギー専門医を有しており、気管支ぜんそく・食物アレルギー・アトピー性皮膚炎などを診ています。食物負荷テストも実施しており、多くの方が受けられています。またアナフィラキシー症状の緊急受診にも対応しており、学校や自宅でのエピペンの注射に関しても指導しております。

アレルギー外来のご案内

当科では、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎、気管支喘息、アレルギー性鼻炎などのアレルギー性疾患に対する治療を、地域の医療機関とも連携しながら行っています。入院での食物アレルギー負荷試験やアトピー性皮膚炎治療、外来では食物アレルギーの経口免疫療法や栄養指導、アトピー性皮膚炎や気管支喘息の長期管理、栄養管理部と連携した食事指導などを行っています。

アレルギー性疾患について 

小児期のアレルギー性疾患の多くは、アレルギー素因(アトピー素因)という体質を背景に発症すると考えられています。ご両親やきょうだいなど、家族にアレルギー性疾患の方がいらっしゃるお子さんは、アトピー素因をもっているかもしれません。そのような体質があると、重症の乳児湿疹やアトピー性皮膚炎、食物アレルギー、気管支喘息、などのアレルギー性疾患に罹患する可能性が高くなると考えられています。

皮膚炎と食物アレルギーの関係について

食物アレルギーを発症するメカニズムとして、湿疹がある皮膚から接触した食物抗原(アレルゲン)に対してはアレルギー反応を起こす方向に免疫が誘導され、腸管から入ったアレルゲンはアレルギーを起こさない方向に免疫が誘導される、という説が有力視されています。つまり、皮膚炎があると食物アレルギーを発症するリスクが高まると考えられています。また、皮膚炎がないという前提ではありますが、摂取できる範囲内でアレルゲンを摂取すると食べられる方向に免疫が誘導される可能性があると考えられています。

アトピー性皮膚炎について 

アトピー性皮膚炎は、よくなったり悪くなったりを繰り返す、かゆみのある湿疹を生じる病気です。アトピー素因がある方は、生まれつき皮膚の天然保湿因子が少なかったり、皮膚のバリア機能が破壊されやすかったりして、皮膚炎を生じやすいと考えられています。当科では保湿剤とステロイド軟膏を用いて皮膚のバリア機能を改善し、炎症を抑えることが最も重要であると考えています。また、早期に皮膚の炎症を抑えることで、食物アレルギーなどの発症や増悪を食い止める必要があると考えています。
ステロイド軟膏については「なんだか怖いな」と思っていらっしゃる方も多いとは思いますが、適切な使用法を守ることで、副作用を回避しつつ、早期に皮膚の炎症を鎮静化させ、使用量や使用せねばならない部位を減らしていくことができます。治療開始が早いほど、治療効果も上がりやすいとされていますので、アトピー性皮膚炎でお悩みの方は外来を受診していただくか、かかりつけの先生にご相談ください。

食物アレルギーについて 

食物アレルギーとは、原因となる食物を摂取することで身体にとって不利益な状態が起きることを指します。診断は、それまでの摂取歴や症状についての問診、血液検査、皮膚テスト、実際食べてみること(経口負荷試験)、などを通して行います。この中で最も確実なのは経口負荷試験で、それ以外の検査は確実さの面で劣ります。「血液検査で反応が出ているから」という理由のみで除去が行われているケースは多くみられますが、経口負荷試験を行うことで実はある程度なら食べられるということがわかるかもしれません。ただし自宅で独自に試すのは危険なので、興味がある方は外来を受診していただくか、かかりつけの先生にご相談ください。

食物アレルギーを管理するうえでの基本的な考え方は症状が出るものは摂取しないということですが、量や調理法を工夫すれば一定の範囲で食べることができる場合もあります。近年では、症状が出ない範囲で継続的に摂取することで、アレルギーがある食品も徐々に摂取できるようになるのではないかと考えられています(経口免疫療法)。ある程度の量が摂取できている場合はもちろんですが、微量しか摂取できない場合にも、根気よく続ければ一定の効果はあると考えられています。このように「食べて治す」アプローチは効果もある一方、安易に行うと重篤なアレルギー症状を引き起こす可能性があり、危険なので、必ず熟練した医師の指導の下に行う必要があります。

食物経口負荷試験について

食物アレルギーの診断において、最も確実なのは実際に摂取してみることです。摂取してみることで症状が誘発される可能性はありますが、どの程度摂取したらどんな誘発症状が出現するのかがわかることも、重要であると考えます。当科では、日帰り入院での負荷試験のみ行っています。現在のところ月・水・木・金曜を入院負荷試験実施日としています。9時頃に来院していただき、午前中に段階的に対象食物を摂取し、12時に摂取を終了、14時頃から昼食をとっていただき、15-16時頃に退院、というのが通常の流れです。
誘発症状出現時には適宜治療を行い、ほとんどの場合は当日の退院が可能ですが、重篤な症状が出現した場合には1泊していただくこともあります。摂取してみる食品は、診察の際に相談のうえ決定します。経口負荷試験を希望される場合は、外来を受診していただくか、かかりつけの先生にご相談ください。

経口免疫療法について

食物負荷試験で確認できた摂取量が比較的多い場合、その範囲内で摂取を継続することは、栄養/食事指導の範囲内で比較的安全に行うことが可能ですが、重症の食物アレルギーで微量しか摂取できない場合や、少しずつ摂取量を増やしていって摂取できる量を増やしていくことを目指すような場合には、自宅で症状が誘発される危険性をともなうため、より慎重な管理が必要になります。2016年に改訂されたガイドラインでは、実施施設に対して当該施設の倫理委員会の承認を得ることが求められました。当科ではガイドラインに準拠するため、倫理委員会の承認を得て実施しています。食物アレルギーをお持ちの方で、この「食べて治す」治療に興味がある方は、外来を受診していただくか、かかりつけの先生にご相談ください。

気管支喘息について 

ダニやハウスダストといった環境中のアレルゲンに対してアレルギー反応を起こし、気管支が炎症を起こすことで空気の通り道が狭くなり、ゼーゼー、ヒューヒューといった特徴的な呼吸となり、ひどくせき込んでしんどくなります。吸入するアレルゲンによる慢性的な炎症が問題であり、内服や吸入ステロイド薬で炎症を抑え、長期的な管理を行います。当科では、呼気一酸化窒素測定装置をいち早く導入し、診療に活用しています。気道の炎症をコントロールして喘息発作がない状態を保ち、日常生活を問題なく送れることを目標としています。

風邪をひくといつもゼーゼーする

年少児の気管支は細いため、気管支炎などの感染症に伴って粘膜が腫れることで空気の通り道が狭くなり、ゼーゼーと喘息のような呼吸を生じることがあります。「感染時のみにゼーゼーする」ことは厳密には気管支喘息とは異なるのですが、何度もそのようなことを起こす場合には「実は気管支喘息を発症している方が感染をきっかけに発作を生じているのかもしれない」と考えて、早めから気管支喘息に準じた長期管理を試みることが推奨されています。それにより感染時のゼーゼーを起こしにくくなり、通院や入院の負担を減らすことができているケースも多くありますので、一度ご相談ください。

アレルギー性鼻炎について

アレルギー性鼻炎は鼻の粘膜のアレルギー疾患で、原則的には発作性反復性のくしゃみ、鼻汁(水様性)、鼻づまりを3主徴とします。アレルギー性鼻炎と他の原因による鼻炎とを区別することが必要ですが、鼻かぜの初期にはくしゃみや鼻汁がみられるため区別するのが難しいです。アレルギー性鼻炎では、鼻のかゆみを伴うことが多く、区別するのに有用です。
アレルギー性鼻炎には、通年性アレルギー性鼻炎と季節性アレルギー性鼻炎があり、通年性の場合にはダニやカビ、ペットの毛などが原因のことが多く、日本人の約4分の1が通年性アレルギー性鼻炎と言われています。季節性の場合には花粉症のことが多く、2~4月頃に症状が強い場合にはスギによる可能性があります。スギ花粉症は一度発症すると自然に治ることが少なく、アレルギー性鼻炎は増加傾向であり、近年では発症年齢が低年齢化しているといわれています。それ以外にもヒノキ、カバノキ科花粉やキク科花粉、イネ科花粉などもあります。

舌下免疫療法について

アレルギー性鼻炎に対する治療法で、ダニ・スギによって症状のある方に根本的な体質改善の期待ができ、自然経過を変えられる可能性のある治療法です。治療は長期間必要になりますが、1年程度で効果がみられ、3年以上継続すると、治療中止後も長期にわたり有効性の持続が期待できる可能性があります。治療薬は、1日1回舌の下に置き、決まった時間保持した後に飲み込みます。初回は病院で服用が必要で、服用し始めは口腔内違和感などの症状がでることがありますが、最初の1ヶ月程度で改善することが多いと言われています。
長期寛解・治癒を期待している方、一般的な薬物療法で効果が不十分な方、手術療法で効果が不十分な方はご相談ください。

花粉-食物アレルギー症候群:pollen-food allergy syndrome(PFAS)について

花粉-食物アレルギー症候群とは、花粉アレルギー患者において、花粉と交差反応を示す果物や野菜などを摂取した時に出現するアレルギー反応です。つまり、花粉の一部と共通の構造を持つ食物に対してアレルギー症状が出現することです。摂取直後から約1時間以内に、口の中がかゆくなったり、のどがイガイガして腫れたり、息苦しくなったりするなどの症状が現れることがあります。まれにアナフィラキシーなどの重篤な症状になることがあります。

予防接種について

予防接種では県の二次医療接種機関に指定されており、1次接種には対応していませんが、基礎疾患やアレルギーのためにかかりつけ医で予防接種を受けられない方を対象に行っております。事前の問診などが必要で予約制になっております。

血液・免疫疾患について

血液・免疫疾患では、血液専門医を有しており、血小板減少性紫斑病や無γグロブリン血症に対する、小児では数十例程度の新しい治療法も行っています。慢性肉芽腫症などの稀少疾患や、川崎病や血管性紫斑病などの比較的頻度が高い疾患まで、多くの疾患を扱っていますが、悪性疾患には対応していません。

神経分野について

神経分野ではてんかんや熱性けいれん・痙攣重積などを診ており、MRIや脳波を施行し、診断から抗てんかん薬の治療、日常生活のフォローなどを行っております。

循環器分野について

循環器分野では川崎病罹患後の心臓エコー検査と先天性心疾患などの心臓エコー検査をそれぞれ担当医が行っています。心臓カテーテル検査などは行っていませんので、手術対象の方は専門病院を紹介させていただきます。

腎疾患について

腎疾患では紫斑病性腎炎やネフローゼ症候群などの腎疾患に加え、腎盂腎炎や膀胱尿管逆流症などの疾患も小児泌尿器科と一緒にフォローしています。

発達障害について

発達障害、不登校、起立性調節障害、摂食障害も診ています。発達障害は、小児科医、小児専門ST・OT、心理士がチームを組み、初診から診断、環境調整等を行っており、多くの機関からご相談いただいています。摂食障害は、小児科医、精神科医、心理士、看護師でチームを組み、治療にあたっています。

当院小児科では名医師が専門分野を持ち質の高い安心できる医療を提供できるよう日々努力しています。

【令和1年度入院実績】(延べ人数)

総入院数(他科疾患・NICU除く):1011例

アレルギー疾患:262例

食物負荷試験:206例、喘息発作:48例、アナフィラキシーショック:7例 他

内分泌・代謝疾患:254例

成長ホルモン分泌刺激試験:208例、思春期早発症:14例、ケトン性低血糖症:10例、周期性嘔吐症:12例、糖尿病:5例、甲状腺疾患:3例 他

感染症:251例

RS:79例、伝染性単球症:5例、アデノ:18例、インフルエンザA&B:20例、手足口病:9例、ヒトメタニューモウイルス:31例、マイコプラズマ:46例、溶連菌:27例 敗血症:5例、麻疹:1例 他

呼吸器疾患:165例

肺炎・気管支炎:130例、咽頭・扁桃・喉頭炎:20例、咽後膿瘍:3例、呼吸不全:10例 他

神経疾患 73例

熱性けいれん(単純&複雑型):23例、無菌性髄膜炎:13例、細菌性髄膜炎:2例、脳症:4例、てんかん重積発作:20例、West症候群:3例、顔面神経麻痺:2例、胃腸炎関連けいれん:2例 他

消化器疾患:72例

細菌性腸炎:12例、ウイルス性腸炎(ノロ・ロタ・アデノ等):34例、黄疸:2例、肝膿瘍:3例、膵炎:2例、肝機能障害:5例、腸重積:3例 他

腎・尿路疾患:32例

尿路感染症:18例、ネフローゼ:9例 急性糸球体腎炎:2例、紫斑病性腎炎:1例 他

川崎病:31例

自己免疫疾患:30例

若年性特発性関節炎:26例、新生児ループス:1例 他

運動器・皮膚疾患:27例

骨形成不全:3例、蜂窩織炎:3例、頚部リンパ節炎:11例、頸部膿瘍:3例 他

血液疾患・免疫疾患:24例

慢性肉芽腫症:5例、血小板減少性紫斑病:5例、IgA血管炎:9例 他

重症心身障害児・染色体異常 他:23例

CFC症候群:5例、CHARGE症候群:3例 他

心身症:10例

神経性やせ症:7例 他

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