集学的がん治療センター

集学的がん治療センターについて

当施設は、2008年2月に厚生労働省より「地域がん診療拠点病院」に指定され、奈良県におけるがん治療水準の向上を図るため、2010年に集学的がん治療センターがその中心的役割を果たすために設置されました。診断、手術、化学療法、放射線療法、免疫療法、緩和治療といった各診療科で行われている診療を有機的に結び付ける役割を担っています。
集学的がん治療センターには、従来のがん相談支援センター(竹澤裕一室長)、化学療法室(小林真也室長)に加え、がんゲノム医療への対応強化のため2020年1月から遺伝カウンセリング室(佐道俊幸室長)が設置されています。また、主としてがんの入院患者への診療支援を目的として、公認心理士や薬剤師、作業療法士などを含む多職種の緩和チームが活発に活動しています。今年度のトピックスとして、2020年1月より当施設が、がんゲノム医療連携病院となり、院内でのがん遺伝子パネル検査を保険診療として院内で依頼できるようになりました。

集学的がん治療センター長
高 済峯

外来治療室

安心・安全・快適に外来患者さんの化学療法を実施するために平成18年10月に開設され、同年11月から4床より運用が開始されました。ベット数は件数の増加に合わせて、平成23年3月に7床、平成27年2月に9床、平成28年2月に10床に、さらに平成30年5月に新病院に移転後は15症となりました。その後も外来化学療法の実施件数は飛躍的に増加して2019年度は6056件となり、現在ベッド数は19床にまで拡大しております。医師、看護師、薬剤師によるがん化学療法チームの定期カンファレンス/レジメン委員会を月1回開催し、有害事象の対策、新規レジメンの検討などを行っています。

がん相談支援センター/がん相談支援室

がん相談支援室において、がんの治療や療養について、患者、家族、地域の方の相談を受け付けており、どなたでも無料で利用することができます。地域がん診療連携拠点病院事業の一環として平成20年に開設され、12年目を迎えました。2019年度のがん相談支援件数は、1756件と、県内最多であった昨年度からさらに増加しております。がん患者の就労支援のため、2019年12月にはハローワーク奈良と協定を結び、院内で就職支援活動を行っています。また、都道府県単位で開催される「まほろばPEACE緩和ケア研修会」を毎年実施しており、施設内の「がんサロン」で開催される患者同士の交流会を側面的に支援しています。

※がん相談支援室へのお申し込みについて:がん相談支援室はどなたでも無料で利用することができます。当院にかかっておられなくても相談できますので、患者さん、あるいはご家族から直接がん相談支援室にご連絡いただくか直接おいでいただけましたら対応したします。当院以外の医療機関の担当医の先生方からも相談について気軽にご指示やご案内ください。また、がん患者の疼痛管理に対応するため緩和ケア内科で外来診療を行っており外来の患者さんが受診できます。院外からのご紹介も随時受け付けておりますので癌性疼痛のコントロールでお困りの場合など是非ご紹介ください。

院内がん登録

院内がん登録は、がんと診断された患者様の情報を集め、それぞれの施設でがん診療がどのように行われているかを明らかにする調査のことで、奈良県の各地域がん診療連携拠点病院では、毎年どのくらいの人ががんと新たに診断され、その後どのくらいの割合で生存しているかなどの調査を行い、奈良県や国立がんセンターに報告する事業です。奈良県総合医療センターでも、診療科を問わず全ての患者様のがんに関する情報を収集、整備し、がん診療レベルを向上させ、患者様を支援することができるように努めています。なお、これらの個人情報は個人情報保護法等を遵守し、厳重に取り扱っていますのでご安心ください。

がん登録件数(PDF)

がん地域連携パス

奈良県では、2012年より、地域におけるがんの医療連携体制を整えるために、地域がん診療連携拠点病院とかかりつけ医とが連携して、診療の役割分担を行う『がん地域連携パス』が運用しています。がん地域連携パスとは、当施設で手術や処置などの治療を受けていただいた後、お近くのかかりつけ医と連携し、標準治療の継続と日頃の健康管理をスムーズに行っていくためのしくみのことです。患者様ご自身と、かかりつけ医、当センター医師の3者が、今後の治療や診療計画、通院スケジュールなどを示した冊子(私のカルテ)を活用し、診療情報の共有をはかり、安心したがん治療の継続を提供するものです。現在、奈良県では5大がん(肺がん、乳がん、胃がん、大腸がん、肝臓がん)に関するがん地域連携パスが作成されていますが、当センターでは2010年より5大がん以外にも、胆道・膵がんに対する塩酸ゲムシタビン療法や前立腺がん、初期子宮頚がん、皮膚がんなどに対するパスも作成しています。かかりつけ医をお持ちでない場合は、当センターからご紹介することも可能ですのでお気軽に主治医にお尋ね下さい。

公開講座

「奈良県総合医療センター公開講座」として、がん治療に関する内容のものを年に1回、県民を対象として開催しております。

「人生の最終段階」における医療・ケア意思決定支援の指針

1.基本方針

厚生労働省「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等の内容を踏まえ、奈良県総合医療センターで人生の最終段階を迎える患者が、その人らしい生き方で最期を迎えられるよう、多職種から構成される医療・ケアチーム(以下、「医療・ケアチーム」と略す)で、患者とその家族等に対して適切な説明と話し合いを行い、患者本人の意思決定を尊重し、望ましい医療・ケアを提供することに努める。

2.「人生の最終段階」の定義

(1)がんの末期のように、予後が数日から長くとも2~3カ月と予測が出来る場合
(2)慢性疾患の急性増悪を繰り返し予後不良に陥る場合
(3)脳血管疾患の後遺症や老衰など数カ月から数年をかけて死を迎える場合
なお、どのような状態が人生の最終段階かは、患者の状態を踏まえて、医療・ケアチームにて判断するものとする。

3.人生の最終段階における医療・ケアの在り方

(1)医師と多職種の医療従事者から適切な情報の提供と説明がなされ、それに基づいて医療・ケアを受ける本人がその医療・ケアチームと十分な話し合いを行い、本人による意思決定を尊重としたうえで、人生の最終段階における医療・ケアを進めるものとする。
(2)なお、本人の意思は変化しうるものであることを踏まえ、本人は自らの意思をその都度、伝えられるよう医療・ケアチームは支援し、本人との話し合いが繰り返し行われることが重要である。
(3)本人が自らの意思を伝えられない状態になる可能性があることから、家族等の患者が信頼できる者も含めて、本人との話し合いが繰り返し行われることが重要である。この話し合いに先立ち、本人は自らの意思を推定する者として特定の家族等を前もって定めておくことも必要である。
(4)人生の最終段階における医療・ケアについて、医療・ケア行為の開始・非開始、医療・ケア内容の変更、医療・ケア行為の中止等の判断決定は、医療・ケアチームによって、医学的妥当性と適切性をもとに慎重に決定する。
(5)医療・ケアチームは、可能な限り疼痛やその他の不快な症状を十分に緩和し、本人や家族等の精神的・社会的な援助も含めた総合的な医療・ケアを行うこととする。
(6)生命を短縮させる意図をもつ積極的安楽死は、対象としない。

4.人生の最終段階における医療・ケアの方針の決定手続

人生の最終段階における医療・ケアの方針決定は以下によるものとする。

(1)本人の意思の確認ができる場合

①方針の決定は、本人の状態に応じて専門的な医学的検討を経た後、医師等の医療従事者から適切な情報の提供と説明がなされなければならない。そのうえで、本人と医療・ケアチームとの合意形成に向けた十分な話し合いを踏まえた後、本人による意思決定を基本とし、医療・ケアチームとして方針の決定を行うこととする。
②時間の経過、心身の状態の変化、医学的評価の変更等に応じて本人の意思が変化しうるものであることから、医療・ケアチームにより、適宜、適切な情報の提供と説明がなされ、本人が自らの意思をその都度示し、伝えることができるような支援が行われる必要がある。なお、本人が自らの意思を伝えられない状態になる可能性もあることから、家族等も含めた話し合いが繰り返し行われることも必要である。
③このプロセスにおいて話し合った内容は、その都度、診療記録にまとめておくものとする。

(2)本人の意思の確認ができない場合

本人の意思確認ができない場合には、以下の手順により、医療・ケアチームの中で慎重な判断を行う必要がある。 ① 家族等が本人の意思を推定できる場合には、その推定意思を尊重し、本人にとっての最善の方針をとることを基本とする。
② 家族等が本人の意思を推定できない場合には、本人にとって何が最善であるかについて、本人に代わる者として家族等と十分に話し合い、本人にとっての最善の方針をとることを基本とする。時間の経過、心身の状態の変化、医学的評価の変更等に応じて、このプロセスを繰り返し行う。
③ 家族等がいない場合や家族等が医療・ケアチームに判断を委ねる場合には、本人にとっての最善の方針をとることを基本とする。
④ このプロセスにおいて話し合った内容は、その都度、診療記録にまとめておくものとする。

(3)複数の専門家からなる話し合いの場の設置

上記(1)及び(2)の場合において、方針の決定に際し ・医療・ケアチームの中で医療従事者の心身の状態等により医療・ケアの内容の決定が困難な場合
・本人と医療・ケアチームとの話し合いの中で、妥当で適切な医療・ケアの内容についての合意が得られない場合
・家族等の中で意見がまとまらない場合や、医療・ケアチームとの話し合いの中で、妥当で適切な医療・ケアの内容についての合意が得られない場合
第三者を含めた話し合いの場を別途設置し、方針等についての検討及び助言を提案する必要がある。
なお、必要に応じて、専門家に助言を求めることも可能とする。

5.参考資料

〇「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」 
厚生労働省 2018年3月 改訂
〇「認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン」
厚生労働省 2018年6月

奈良県総合医療センター

まほろばPEACE緩和ケア研修会

厚生労働省は、がん対策基本法に基づくがん対策推進基本計画において、「すべてのがん診療に携わる医師が研修等により、緩和ケアについての基本的な知識を習得する」ことを目標としています。これを受けて、がん診療に携わるすべての医師が、緩和ケアについての基本的な知識を習得し、がん治療の初期段階から緩和ケアが提供されることを目的に、これら医師に対する緩和ケアの基本的な知識等を習得するための研修会を行うように、各都道府県に開催指針が出されました。さらにがん診療連携拠点病院の指定要件として、開催指針に準拠した「緩和ケア研修会」を定期的に実施することが明示されています。 当センターでも2009年度より、緩和ケア研修会を定期開催しております。毎回25-30名前後の医療従事者に対し、がんの患者様が抱えるさまざまな苦痛に対する治療やケアに関し、講義形式やワークショップ、ロールプレイ形式による研修を行っています。

「がん診療」のPDCAサイクルについて

当センターでは 、がん 患者さんの療養生活質向上ため、診療に関わる医療従事者が参加し、PDCAサイクル(Plan-Do-Check-Action)を実践し、継続的に改善に取り組んでいます。

奈良県がん診療連携拠点病院の相互評価
http://www.naramed-u.ac.jp/~cancer/

がんネットならのご案内

奈良県では、がん患者さんやそのご家族が、医療機関や治療を選択する際やい療養生活を送る際に役立つ情報提供ツールとして、「がんネットなら」を開設しています。ぜひご活用ください。

「がんネットなら」はこちら

がんに関する治験・臨床研究

お問い合わせ先

奈良県総合医療センター 事務部財務課

TEL:0742-46-6001

研究等に関する情報公開

研究等に関する情報公開

遺伝カウンセリング外来について

遺伝カウンセリング室

昨今、がんゲノム医療を含む遺伝診療の需要が高まっており、2020年1月、当院はがんゲノム医療連携病院の指定を受け、保険診療としてがん遺伝子パネル検査を実施できるようになりました。それ以前の2018年からも遺伝医療に関するニーズに対応するため、遺伝カウンセリングの専門外来が開設されていましたが、このがんゲノム医療の充足を図るために遺伝カウンセリング室が設置されました。

遺伝カウンセリングとは

遺伝カウンセリングでは、遺伝に関わる悩みや不安、疑問などを持たれている方々のお話を十分に伺い、それぞれが抱えている問題を理解した上で、必要な情報を判断し、関連する医学的に正確かつ最新の情報をわかりやすくお伝えします。そしてご自身で問題を解決できるよう、また最適な選択ができるよう、医療的、心理的、社会的側面からもお手伝いをさせていただきます。

遺伝カウンセリング外来

遺伝カウンセリング外来

現在、遺伝医療の専門スタッフとして臨床遺伝専門医4名、認定遺伝カウンセラー1名が、主治医、専門看護師、助産師、臨床心理士、ケースワーカー等と連携して対応しています。遺伝性腫瘍に関連する遺伝カウンセリングが多くを占めていますが、産婦人科医、新生児集中治療医とも連携し、出生前診断を含む様々な遺伝性疾患のカウンセリングにも対応しております。遺伝カウンセリング外来は1階の患者支援センター内にあります。個室でプライバシーが守られた環境で、落ち着いてお話を伺うことができます。

遺伝カウンセリングの対象となる方

遺伝や遺伝性疾患に関する悩みや不安を抱えている患者さんとご家族の方、その他すべての方が対象となります。
尚、親子鑑定については対応していません。

遺伝カウンセリング費用

自費診療で、初回8,800円(税込)、2回目以降5,500円(税込)です。
遺伝子検査を希望される場合は別途検査費用が必要です。
※一部保険適用になっている遺伝子検査後の遺伝カウンセリングに関しては保険適用になる場合があります。

遺伝カウンセリングを希望される方へ

遺伝カウンセリング外来はすべてご予約が必要です。
患者さんからの直接の予約は受け付けておりません。

<当院通院中の方>
主治医にご相談の上、主治医を通して遺伝カウンセリング外来の予約をお取りください。

<院外の方>
かかりつけ医療機関の主治医にご相談の上、当院担当科を受診してください。担当科より遺伝カウンセリング外来の予約をお取りいたします。

※遺伝カウンセリングでは血縁者の情報が非常に重要です。わかる範囲で、家系情報、特に疾患や遺伝子検査の結果などの情報をご準備ください。

<医療機関へのお願い>
患者さんからのご相談があれば、地域連携室で担当科の予約をお取り下さい。その際、診療経過や検査結果などの診療情報提供書を作成して下さい。

スタッフ

臨床遺伝専門医 専門分野・研究分野
佐道 俊幸
周産期母子医療センター長
産婦人科部長
周産期医学
出生前診断
更年期医学
安原 肇
新生児集中治療部医長
新生児学
小児科学
吉元 千陽
産婦人科副部長
周産期医学
新納 恵美子
産婦人科医長
婦人科内視鏡手術
産婦人科腫瘍
認定遺伝カウンセラー その他の資格・認定
丹羽 由衣 家族性腫瘍カウンセラー
日本人類遺伝学会 GMRC
薬剤師
認定看護師(兼務) 資格・認定
北村 芽衣子 がん化学療法看護認定看護師
村田 梨絵 乳がん看護認定看護師

がん遺伝子パネル検査の依頼について

標準的ながん化学療法で効果の得られない患者さんや、治療薬が確立されていない、いわゆる希少がんの患者さんについて、がんの遺伝子の状況を調べることによって有効な治療法を探す「がん遺伝子パネル検査」が開発されています。当院は、2020年1月に、厚生労働省が管轄するがんゲノム医療連携病院に指定され、がん遺伝子パネル検査を保険診療として院内で依頼できるようになりました。保険診療としての依頼には適応要件がありますので、担当医にご相談ください。当院における相談窓口は、各診療科の主治医、もしくはがん相談支援室の担当者です。院外から依頼も受け付けておりますのでご相談ください。

診療受付のご案内

TEL 0742-46-6001

※番号非通知はつながりません

■ 診療受付日

曜日~曜日

(土,日,祝祭日,年末年始を除く)

■ 受付時間

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診察予約変更の専用ダイヤル

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