消化器・肝臓・胆のう・膵臓外科

1.高度医療への対応

奈良県総合医療センター消化器・肝臓・胆のう・膵臓外科は、奈良県における公的基幹病院の外科として、医学の進歩による先端の外科治療技術を常に導入し、高度な医療を行うことによって県民の健康に貢献するよう努めています。肝臓・胆のう・膵臓外科、下部消化管(結腸、直腸)外科、上部消化管(食道、胃)外科の各領域に専門的技能を有する指導医が常勤医として勤務しています。新病院における最新の設備と医療機器を備え、高度な手術に対応できる体制を備えています。通常の手術では切除困難な進行癌に対する血行再建手技を駆使した切除手術は当科の特徴です。手術支援ロボットダヴィンチを用いた胃、直腸や膵臓などの消化器外科手術も先進的に導入し、ロボット支援下直腸手術は2019年2月より県内初の健康保険での実施施設として認められています。また、膵臓手術は、厳格な実施要件を満たすことにより全国的にも数少ない高度専門施設とともに2020年4月より健康保険での実施施設として認可され、膵頭十二指腸切除術や膵体尾部切除術が必要な患者さんの個々の病気の状態により、通常の開腹手術、腹腔鏡手術、ロボット手術を選択できるようになりました。麻酔科医や集中治療部の高度な技術をはじめとする充実した診療体制がこれらの高度医療を可能にしています。

 

2.地域に根差した総合病院

地域に根差した総合病院として、胆石症、そけいヘルニア、肛門疾患などの一般的な病気に対する手術も行っております。また、虫垂炎や消化管穿孔、腹部内臓出血、腸閉塞などの腹部の救急疾患に対する緊急患者への手術にも常に対応できる体制を整え、基幹病院として県民の健康を守る砦としての責務を果たすべく診療にあたっています。

 

3.がん患者を支える

当科では消化器がんの患者さんに対する化学療法も行っており、同時に症状緩和のための治療も含め、がん患者をあらゆる面で支えていく役割も担っています。院内に組織されている集学的がん治療センターと協力しつつ、手術だけではなく、手術後の患者さんの術後の経過観察と治療継続についても責任をもって対応していくことを方針として掲げます。当院は地域がん診療連携拠点病院であるとともに、がんゲノム医療連携病院となり、院内でがん遺伝子パネル検査を依頼できるようになっています。

 

4.外科医育成のための専門研修

当院は、消化器・肝胆膵外科のほか心臓血管外科、呼吸器外科、乳腺外科を含む外科系診療科群として、2020年度から日本外科学会/日本専門医機構の外科専門研修の基幹施設となっており、当院の外科研修プログラムでの3年間で外科専門医の資格が取得できるようになりました。2020年4月から外科専攻医が本プログラムによる外科専門研修を開始しており、病院全体として外科専門研修を着実に進めるとともに、専攻医の外科医としての成長と今後の発展に責任をもって取り組んでいます。

外来担当表

月曜日 火曜日 水曜日 木曜日 金曜日
1診 向川 中谷 石川 渡辺
2診 向川 山戸 井上 中多
3診 根津 土井 藤井 吉川 根津
4診午前 金廣(小児外科)
4診午後 松坂
外来受付:午前8時30分~午前11時00分まで(予約、急患を除く)

取り扱う病気

  • 胃がん、食道がん、大腸がん、肝臓がん、膵臓がん、膵神経内分泌腫瘍(P-NET)や膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)などの膵腫瘍、胆管がん、胆嚢がんなどの消化器の悪性腫瘍、胆道拡張症、ポリープ
  • 胆石症、ヘルニア(脱腸)、肛門疾患、大腸ポリープ、脾臓疾患
  • 急性虫垂炎、腹膜炎、腸閉塞、消化管穿孔などの外科救急疾患
  • 神経内分泌腫瘍(NET)、消化管間質腫瘍(GIST)や、腹部に発生した脂肪肉腫、悪性線維性組織球腫(MFH)などのいわゆる肉腫と呼ばれる希少がん
  • その他の外科疾患

 ※各疾患の詳しい情報については、上の「治療について」のボタンをクリックしてください

  • 当科は、外科系医療の全国調査 National Clinical Database(NCD)に参加しています

 

当科の特色

県民のための公的専門病院

当院は、奈良県民のための公的病院であり、営利目的の病院ではありません。県民の皆様の健康を守るために存在しています。地域に密着した心の通う外科診療を行うと同時に、奈良県内において、現時点の国内外で最も進んだレベルの治療を高い技で行うよう努めています。そのような治療が、遠く離れた病院に行かなくても皆様のお近くにある奈良県総合医療センターで受けられることをぜひ知っていただきたいと思っております。

 

肝臓、胆のう、膵臓がんに対する手術

肝臓がん(原発性肝がん、主として大腸がんからの肝転移)、進行が速いと言われる膵臓がん、胆道がん(肝門部領域胆管がん、遠位胆管がん、胆嚢がん、乳頭部がん)、などに対する手術を行なっています。肝臓がんに対しては術前肝予備能から至適な肝切除量を診断し、門脈腫瘍栓を伴う進行肝がんに対しても手術適応を検討しています。多発性の転移性肝がんに対しては、様々な抗がん剤と門脈塞栓術や2期的手術を組み合わせた治療を検討しています。膵臓がんには術前化学放射線療法・術後化学療法を組み合わせ、必要に応じて血行再建手技も駆使した根治切除手術を行い治療成績を向上させています。進行胆道がんに対しては、術前化学放射線療法や血管合併切除・再建する技術を駆使して、根治を目指した手術を数多く行なっています。また低侵襲手術として、個々の患者さんの病気の状態に応じて腹腔鏡下の肝切除・膵切除、さらにはロボット支援下の膵切除を積極的に取り入れています。特に単発の原発性肝がん、転移性肝がん、膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)などは、腹腔鏡やロボット支援下手術の良い適応と考えています。当院には、外科学会専門医・指導医、消化器外科学会専門医・指導医の資格はもとより、更に高度な専門医資格として日本肝胆膵外科学会高度技能指導医・専門医を取得した医師を3名が常勤医として在籍して主に手術を担当することにより、高度で安全な医療を提供しています。数多くの肝臓、膵臓、胆道領域の高難度手術を行っている施設として、日本肝胆膵外科学会専門医修練施設Aに指定されています。

 

食道がんに対する手術

術後に集中治療を要することが多く、一般の病院で施行することが困難な食道癌の手術を多数行っており、食道がん手術の専門外科医が長年にわたる豊富な経験を有しております。工夫された手術法で、他施設と比較して手術後の開腹が非常に速やかなであることが特徴です。

 

胃がんに対する手術

長年にわたる信頼を得て多数の患者さんを地域の先生方からご紹介いただいております。進行胃がんに対する開腹による手術と、早期胃がんに対する腹腔鏡下手術の両者を使い分けて、診療ガイドラインに沿った治療を行っております。合併症が少なく術後の回復が早いことが当センター外科の特徴です。

 

大腸がんに対する手術

この領域の手術は、消化器外科かつ大腸肛門病の専門医が主として担当しております。従来人工肛門となることも多かった直腸がんの手術では、新たな手術法により、多くの患者さんで人工肛門を回避しつつ根治的な切除を行うことができるようになっております。近年、抗がん剤による治療が進歩しており、当センターでも分子標的薬を含めた最新の治療を行っておりますが、大腸がんは、積極的な外科切除が治癒につながりやすいがんであり、転移を有する患者さんに対しても切除が可能な場合は転移巣を含めた切除を積極的に行って治癒を目指しております。その成果は国際学会でも紹介されております。また、内視鏡外科の技術認定を受けた専門の医師を中心に、体への侵襲軽減を目指した腹腔鏡下手術にも積極的に取り組んでおります。大腸がんの臓器転移として最も多い肝臓転移に関しては、外科切除で完治が得られることが少なくありません。当センターでは、肝臓外科の専門医を有しており、他院では治癒を断念して抗がん剤治療とされた患者さんに対しても、肝切除による治療を精密かつ安全に施行して多くの患者さんが助かっておられます。国内外の他施設と比較しても非常に良好な生存率を達成しております。

※個々の外科疾患、手術等の詳細については上段横の「▶治療について」をクリックしてご覧ください。

 

当科におけるロボット支援下消化器外科手術

2012年12月、奈良県総合医療センターに手術支援ロボット「ダヴィンチ」が導入されて以来、消化器外科手術においてもロボットシステムを導入すべく準備を進めて参りました。
ロボット支援下手術を行うには、ロボットの製造販売元である米国インテュイティブサージカル社のトレーニングコースを受けることが、日本内視鏡外科学会の指針で条件とされています。現在、当科ではロボット支援下手術の資格取得医師が3名在籍しております。まず、2017年11月に胃がんに対して初めてロボット支援下手術を開始し、その後、2018年2月からは直腸がん、2019年10月からは新たに膵疾患に対してもロボット支援下手術を施行しております。当初はいずれの手術も保険が適応されておらず自由診療として行っておりましたが、2018年4月に胃がん、直腸がんを含む12の術式が保険適応となり、2020年4月には新たに膵疾患が保険適応となったことで、当科におけるロボット支援下手術の件数も増加傾向を示しております。奈良県の公的基幹病院として県民の皆様に最高レベルの外科治療を提供すべく、当科では今後も積極的にロボット支援下消化器外科手術に取り組んでいきます。

 

消化器外科におけるロボット支援下手術

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