膵臓癌

患者、ご家族の皆様に

膵臓がんは、難治のがんで他の悪性腫瘍と比べても生存率が低いことが知られています。しかし、手術で切除できた患者さんでは、治って長生きできる方々もいらっしゃるのも事実で、そのような患者さんも多数当科の外来で通院経過観察しておられます。膵臓がんは周囲に根を這うように広がりやすいことや、他の臓器へ転移しやすい性質を持っており、そのことが膵臓がんのたちの悪さの原因になっています。このため、手術で切除しても他の臓器に転移が出たりして、長生きにつながらない場合が出てきます。近年、抗がん剤をはじめとする化学療法の進歩があり、膵臓がんの手術の前に、まず抗がん剤や放射線治療でがんの勢いを抑えて、周囲に広がる根の部分を叩いておくことによって、手術後の治癒率が格段に向上しております。当科では一定以上の広がりを有する膵臓がんの患者さんには、まず抗がん剤や放射線治療で治療を行ったのちに根治切除を行うことが多くなっています。そのことにより以前にも増して切除後に長生きできる患者さんの割合が増えています。また、すでに転移があったり、浸潤範囲が広がりすぎて切除できない患者さんにおいても、まず化学療法、放射線療法を行うことにより、切除に持ち込めることもあります。大変な病気になり、さぞご心痛で、不安で頭がいっぱいになってしまっていると存じますが、困難な中にも道が開ける場合があります。是非ご相談してください。

 

 

診療体制

当科では、膵臓がんの治療、手術に専門的に従事する日本肝胆膵外科学会高度技能専門医/指導医が3名在籍しており、膵臓がん患者さんのちりょうにあたっています。この領域の手術は専門的技術を要するため一般の病院ではあまり行われませんが、当院では膵臓がんなどの病気に対する膵臓手術を年間約70例行っており、膵臓がん患者さんの手術を毎週のように日常的に行っているHigh volume centerです。

 

 

手術支援ロボットダビンチによる膵臓手術の取り組み

当科では新たな膵臓の手術法も導入しており、2019年10月からは、当時、日本国内でも5施設程度の高度専門施設でしか行われていなかった手術支援ロボットダビンチによる膵頭十二指腸切除術(膵頭部の腫瘍を切除するための複雑な手術、後で図解)を関西圏で初めて導入しました。当初は費用をご負担いただく自由診療で行っておりましたが、2020年4月の同手術の条件付き健康保険収載の際に、厳格な施設基準を満たして、国内の約10施設とともに、当時では関西圏で唯一の健康保険適応での膵頭十二指腸切除手術、膵体尾部切除手術(膵体部の腫瘍の切除手術)の実施施設として承認されました。2021年までに膵頭十二指腸切除手術、膵体尾部切除手術合わせておおよそ50例のロボット支援下膵臓手術を行っており、関西圏では唯一のダビンチの見学指導施設になっております。
手術支援ロボットによる腹腔鏡下低侵襲手術は、3次元のズームアップ画像で手術部位の細かい構造まで明瞭に認識することができ、自由に曲がる関節によって、繊細な手術操作が可能となり、腫瘍部の正確な切除や切除後の消化管などをつなぐ作業がスムーズにできます。
現時点では比較的早期の膵臓がんや、ファーター乳頭部癌、膵神経内分泌腫瘍、膵管内乳頭粘液腫瘍などを主たる対象にしています。

 

 

 

 

膵臓がん患者さんへのトータルケア

膵臓がんの場合は特に、手術治療と化学療法、緩和治療といったトータルなケアを行うことが個々の患者さんにとって非常に大切です。当科では、外科治療が終了した後でも、一人ひとりの患者さんを継続的に責任をもって診療していくことを基本方針としております。最先端の高度な手術を行うと同時に、手術後のケアや長期にわたる治療、万が一再発をきたした後の治療についても継続的に診療していくことが大学病院や大都市の専門病院ではない地域の基幹病院たる当外科の最大の特徴です。

 

 

膵臓の構造と膵臓がんの症状

膵臓は、胃からつながる十二指腸と一体化している右側の膵頭部と左側の膵体部、膵尾部に場所の名称が分けられています。膵頭部には、膵液を送る膵管の十二指腸への出口や肝臓から胆汁を十二指腸に送る胆管の出口もあり、主要な消化管や血管などが複雑に交差しています。
がんが膵頭部でできると、胆管を圧迫して胆汁が流れにくくなり、黄だんの症状が出てきます。一方、膵体部、膵尾部にできると症状が出にくいため知らない間に進行しやすいことになります。また、膵頭部でも胆管と離れたところに腫瘍ができると黄疸は出ず見つかりにくいことになります。腫瘍が大きくなると、みぞおちや背中に痛みを感じることがありますが、この段階ではかなり進行していることも少なくありません。

 

 

膵臓がんの手術

膵頭部のがんで膵頭部を切除する場合は、膵頭部が胃から連なる十二指腸や膵管の出口、胆管の出口と一体化しているため、これらの臓器を一緒に切除しなければなりません。切除後には、胆管、膵管、胃の切り口を、小腸につなぎ直して食べ物を消化できるようにしなければならない複雑な操作が必要になります。膵体部、膵尾部の切除の場合は、このような消化管をつなぎ直す操作は必要ありませんが、膵尾部の先にありう脾臓という内臓を一緒に切除することが多いです。また。がんが門脈という膵臓の真裏を通っている血管に及んでいることも多く、門脈を切除して血管吻合する手術も多く行っています。より専門的になりますが、膵臓がんが巻き付いた動脈ごと切除して肝臓を養う肝動脈などを顕微鏡手術でつないで再建する手術も当科では行っています。以下に複雑な手順を要する膵頭十二指腸手術についての図解を示します。

 

膵頭十二指腸切除手術の図解

 

 

膵臓がんの発見について

膵臓がんは一般的な検査では見つかりにくいがんですが、クリニックなどでも日常行われている腹部エコー検査で見つかる場合があります。腫瘍自体はエコーでとらえることが難しいことが多いのですが、腫瘍ができると膵管が詰まり、膵管拡張が起き、それをエコーでとらえて精密検査のきっかけとなり、早期発見につながることもあります。また、膵臓がんの存在によってインスリンの分泌が弱まるため、糖尿病が急に悪化した場合も注意が必要です。血液検査で分かる腫瘍マーカーは、進行しても全く上昇しないので過信はできませんが、採血で測定できるCEAやCA19-9といったマーカーを定期的に測定することで、上昇がとらえられて発見につながる場合もあります。精密検査には造影剤を使用したCTやMRI、超音波内視鏡といった、病院でないとできない検査が必要ですが、検診として日常的に行うには負担が大きいのが問題です。最近では、膵臓がんに関連する家族的な体質があることも分かってきており、家族に膵臓がん患者がいる人も発症リスクが高いため、積極的に検診をお勧めします。

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