もやもや病の治療

もやもや病について

もやもや病は、脳に血液を送っている最も重要な血管である内頚動脈の終末部やその分枝である前および中大脳動脈の近位部における進行性狭窄・閉塞と、その付近の異常血管網(いわゆる『モヤモヤ血管』)の発達という脳血管像上の特徴で定義される疾患です。異常血管網は内頚動脈系からの脳血流の不足を代償するために発達したものです。病期が進行すると後大脳動脈にも狭窄・閉塞を生じます。2015年の厚生労働省診断基準の改定によって、片側例ももやもや病と診断確定することが可能になりました。もやもや病は、日本人をはじめとする東アジア人に多い疾患です。日本では全国で約16000人の患者さんがおられます。国内での男女比は1:1.8で女性に多いことが分かっています。患者さんは、 10歳以下を中心とする若年型と30~40歳を中心とする成人型の二峰性分布を示します。若年型では、過換気による脳虚血(脳梗塞や一過性脳虚血発作)で発症する事がほとんどです。脳虚血発作を繰り返す例では、脳萎縮を呈し高次脳機能障害や脳梗塞による後遺症を残します。成人型では、半数が脳内出血や脳室内出血、クモ膜下出血など様々な様式の頭蓋内出血で発症します。それ以外にも、てんかん発作や頭痛で発症したり、無症候性で偶然診断されたりすることもあります。約12%に家族内発生が報告されています。これまでもやもや病の原因は不明でしたが、『もやもや病の多くの患者さんでRNF213という遺伝子異常のある』ことが2011年に日本から報告されました。しかし、この遺伝子異常に何らかの二次的要因が加わることでもやもや病を発症すると考えられています。

この写真は、痙攣と意識消失で発症された40歳代女性のもやもや病患者さんの脳血管撮影画像です。両側の内頚動脈は、末梢で閉塞しています(黄矢印)。

 

 

もやもや病のエビデンス

脳虚血症状を有するもやもや病患者さんに対しては、頭蓋外内血行再建術を行うことによって、一過性脳虚血発作や脳梗塞リスク、術後の日常生活動作、長期的高次脳機能予後などの改善が得られることが報告されており、その有効性が確立しています。成人例では、間接血行再建術単独による効果は少なく、直接血行再建術を含めた術式が推奨されています。小児例では、間接血行再建術単独の有効性も示されています。また、出血発症の患者さんでは、1年間に約7%が再出血を起こすとされています。出血発症の患者さんを対象とした調査で、直接血行再建術の再出血予防効果が示唆されました。

 

 

血行再建術

直接血行再建術

頭皮を栄養している浅側頭動脈を剥離して、その末梢側を脳表の中大脳動脈に直接吻合する浅側頭動脈-中大脳動脈吻合術が最も一般的な術式です。下の写真の様に10-0ナイロン糸という非常に細い糸で血管を縫い合わせています。

 

間接血行再建術

先ほどの40歳代女性の患者さんに対して、両側の血管吻合手術を行いました。直接血行再建とともに、間接血行再建術も行っています。直接血行再建術の開頭範囲で、中硬膜動脈を温存しながら硬膜を切開し、硬膜を脳表側に翻転するとともに、側頭筋を有茎で硬膜欠損部に縫合しました(EDMS)。下の写真は術前後の血管撮影画像です。写真左(術前)に比して、写真右(術後)の血管撮影では、浅側頭動脈から中大脳動脈が描出されているとともに、中硬膜動脈や深側頭動脈からの間接吻合を介する血管新生が確認できます。

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