治療について
《原発性肺癌》
肺癌に対する標準術式は、肺葉切除または区域切除になります。末梢の小型病変や、肺機能が低い場合などは部分切除も選択肢になります。進行肺癌の場合は、手術前後に化学療法や放射線治療を行います。手術は、基本的に胸腔鏡下またはロボット支援下に行います。通常の肺癌手術(肺葉切除または区域切除)の場合、術後3-5日で退院可能です。
《転移性肺腫瘍》
肺以外を原発とする腫瘍(大腸癌・胃癌・腎癌・骨腫瘍など)が、肺に転移してきたものです。もともとの原発巣が落ち着いており、病巣の数が少ない場合は手術の適応となります。
《縦隔腫瘍》
左右の肺を縦に隔てている空間を縦隔といいます。縦隔にはいろいろな種類の腫瘍が発生します。手術は、基本的に胸腔鏡下またはロボット支援下に行います。大きな腫瘍や血管への浸潤が疑われる場合は、胸骨を縦に切開する手術になります。
《気胸、のう胞性肺疾患》
肺にできた壁の薄い袋(のう胞)が破れると、肺から空気が漏れて肺が縮んだ状態になります。これを気胸といいますが、若い男性に多い病気です。また、のう胞は破れなくても大きくなると正常肺を押しつぶし、息苦しさを伴うこともあります。手術は、基本的に胸腔鏡下に行います。若年者の気胸手術の場合、術後1-2日で退院可能です。
《胸腔鏡手術・ロボット支援手術》
胸に数か所、小さな穴をあけてモニターを見ながら手術を行います。痛みが少なく、術後の回復が早いため早期の退院が可能となります。呼吸器外科領域では、あらゆる疾患に対して応用されており、現在ではほとんどの手術が胸腔鏡下に行われています。
ロボット支援手術も同じ胸腔鏡手術になりますが、カメラや鉗子の操作を機械(ロボット)を介して行います。より複雑で繊細な手術操作が可能となります。
治療実績
2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | 2024年 | |
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原発性肺癌 | 115 (うち、胸腔鏡下手術105) |
109 (うち、胸腔鏡下手術100) |
131 (うち、胸腔鏡下手術128) |
139 (うち、胸腔鏡下手術129) |
144 (うち胸腔鏡下138,ロボット支援下6) |
転移性肺腫瘍 | 19 (うち、胸腔鏡下手術19) |
18 (うち、胸腔鏡下手術18) |
32 (うち、胸腔鏡下手術30) |
23 (うち、胸腔鏡下手術22) |
25 (うち胸腔鏡下25) |
縦隔腫瘍 | 9 (うち、胸腔鏡下手術7) |
16 (うち、胸腔鏡下手術12) |
13 (うち、胸腔鏡下手術7) |
10 (うち、胸腔鏡下手術6、ロボット支援手術2) |
14 (うち胸腔鏡下5,ロボット支援下9) |
気胸、嚢胞性肺疾患 | 41 (うち、胸腔鏡下手術40) |
45 (うち、胸腔鏡下手術45) |
28 (うち、胸腔鏡下手術26) |
27 (うち、胸腔鏡下手術27) |
51 (うち胸腔鏡下51) |
膿胸、胸膜炎 | 0 | 3 | 0 | 9 | 13 |
炎症性肺疾患 | 12 | 8 | 2 | 3 | 4 |
生検・その他 | 21 | 23 | 19 | 23 | 5 |
合計 | 217 | 222 | 224 | 234 | 266 |