2023年 年頭所感 総長 上田 裕一

2023年01月04日


新年明けましておめでとうございます。

令和4年度は3月末までありますが、新たな気持ちで2023年、令和5年を迎えて、年頭所感をお話し致します。

 

5年前、2018年5月に新しい奈良県総合医療センターで診療を開始しました。それ以来、私は「予期せぬことにも対応できる粘り強い医療施設を目指しましょう。そのためには、構成員全員の認識とチームとしての結束力が持続する『レジリエンス』が不可欠です」と申し上げてきました。『レジリエンス』とは弾力性、回復力という意味もあり、困難や脅威に直面している状況でも「うまく適応できる能力」「うまく適応していくプロセス」という概念です。奇しくも2019年春から当センターはCOVID-19 感染の診療施設に指名され、一般診療や救急診療に加えて、多数の職員の方々に従事していただきました。看護部と診療部では、いかに入院病床を有効活用するか、日々、対応をしていただき、診療を継続できました。当センターのレジリエンスは、COVID-19 感染者の診療体制の構築、そして見事に一般診療と両立できたことで実証されました。多様な考えを持った医療者が集まる中で議論を交わして、各医療者が目標に向けて取り組むべき内容を明確にすることの重要性を実感できました。改めて、皆様の業務活動に敬意を表するとともに感謝いたします。2023年も予期せぬ困難や課題に遭遇するかもしれませんが、協調して対応策を考えて、乗り越えていきたいと思います。

さて、地方独立行政法人 奈良県立病院機構においては、2019年4月から5年間の第2期中期目標・計画が策定されています。今年は第2期の最終年度、奈良県立病院機構が発足してから10年目に当たります。この中期目標・計画の根幹は、医業収益の拡大を目指しているのではありません。県民から求められる医療を地域の基幹施設として適切に、そして継続的に提供することです。患者数だけではなく、基幹施設としての「医療の質」も高めなければなりません。個々の治療成績を検討し、その改善に向けた取り組みが不可欠です。特に、高齢者の退院後のQOLは最も重要なアウトカム指標と言えるでしょう。在院日数が短くなり、多くの患者さんは回復期の病院に転院されていますが、その後の後遺症や回復状況などの把握も必要です。診療各科では中期・遠隔成績にも注目して臨床研究も展開していただきたいと思います。

なお、基幹施設として地域の医療ニーズに応えると言っても、医療専門職の人材、病室や手術室、機材などには限界があります。また、それぞれの現場では、長年培ってきた経験に基づく「枠」もあるでしょうが、その枠の見直すことも考慮すべきです。もちろん、一診療科ではできないこともあるでしょう。奈良県総合医療センターとして、「今、何が問題であるのかを知らなければ、私たちはその問題を解決できない」のです。それには、皆さんが気づいた問題、気がかりなことを情報共有することから始まります。そして、枠に限らず、「問題を知りながら、放置しない(害を為すな)」、課題を一つずつ解決していきたいと思います。

今年も一緒に高みを目指して歩んでいきましょう。

 

奈良県総合医療センター総長 上田 裕一

 

 

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