消化器センター

センター長あいさつ

消化器センターは奈良県の第3次中期計画に基づき、先進的で質の高い消化器病診療を実現するために、関連する専門家集団が一体となって一貫性と総合性を持った患者さん中心の診療を行うとともに研究と教育および専門家の育成を目的として、2024年に奈良県総合医療センター内に設立されました。消化器内科医と消化器外科医および放射線科医らが消化器チームとしてこれまで以上に緊密に連携して、病に悩まれている患者さんを迅速かつ的確に診断して最善の治療を行います。私たちは奈良県の基幹医療センターとして多種多様な消化器疾患に対応できる体制を整え、奈良県民のご要望にお答えしながら、第一線の消化器病診療を推進して参ります。
今後も、当センターを日頃から支えて頂いている皆様への感謝の念を胸に刻み、センターに所属する医師全員が協力して診療に従事し、引き続き努力を重ねる事で、これまでと変わらず地域医療に貢献していきたいと考えています。
これからもどうぞよろしくお願い申し上げます。

消化器センター長 守屋 圭

消化器センターとは

消化器は食物の消化や吸収に関係する臓器であり、食道、胃、小腸、大腸、肝臓、胆管、胆嚢、膵臓などのことを示します。消化器センターでは、内科・外科といった従来の枠組みにとらわれず、患者さんに適した治療を提供できる体制を整えています。そのため、内科医、外科医、放射線科医、病理医などが毎週の症例カンファレンスを中心に緊密に協力することで、さらに高いレベルで消化器の様々な病気の診断と治療を行えるように努めています。

消化器センターの特徴

1)診断困難例や難治例が連携医療機関などから数多く紹介されるため、経験豊かな複数の専門医、指導医が若手医師を指導しながら個々の症例に最適な消化器病診療を提供することを基本方針として、外来では月曜日から金曜日までスタッフが毎日診療を行っています。

2)当センターには、日々進歩する内視鏡機器を駆使した最新の医療を提供するための内視鏡診療部門が併設されており、上部、下部消化管疾患をはじめ、胆膵疾患や門脈圧亢進症など多岐にわたる病態の診療を行っています。例えば、早期の胃がん、食道がん、大腸がんでは身体的負担の軽い内視鏡的治療(ESD)を積極的に行っており、必要に応じて外科手術や化学療法などの治療も実施します。可能な限り低侵襲な治療(内視鏡治療、腹腔鏡手術、インターベンション治療)を選択することは、患者さんの早期回復につながります。もちろん、再発したがんに対しては、最後まであきらめない治療をモットーにしており、治療法の選択に迷われる場合には、別の専門領域の医師の診察や他院でのセカンドオピニオンを受けることも可能です。このように、初期治療から治療後のフォローアップまで、患者さんを中心とした継続性のある診療を行っております。また、肝胆膵疾患は診断が難しく、治療も難渋することが少なくないのですが、稀少疾患を含めてすべて対応できるのが当センターの強みです。

消化器センター消化器センター

3)当センターは、低侵襲手術である、手術支援ロボット・ダビンチを用いた消化器外科手術にいち早く取り組み、2017年に胃がんに対する胃切除を開始、2018年にはダビンチによる直腸がん手術を導入して、手技を確立し、現在ではロボット手術が当科での直腸がん手術の標準術式となっております。また、高難度手術の多い膵臓がん、肝臓がん、胆道がんの手術においても、患者さんの身体的負担軽減と手術操作の精密化を目的として、当時では国内で非常に限られた専門施設でしか実施されていなかったロボット支援膵頭十二指腸切除を2019年から自由診療で導入しました。その後の診療実績が評価されて、2020年には全国で約10施設の高度専門施設とともに国内初、近畿圏では唯一の健康保険適用下での同手術の実施施設として認定されました。さらにロボット支援肝切除も2020年から自由診療で導入、2022年の健康保険収載時には全国の約10施設とともに国内初、近畿で唯一の保険適応下での実施施設として認定されております。2023年までに、ロボット膵頭十二指腸切除は60例以上、ロボット膵体尾部切除は40例以上、ロボット肝切除はより難易度の高い区域切除以上を中心に28例以上に施行しており全国的にも有数の手術経験数となっています。特に高難度とされるロボット膵頭十二指腸切除については全国でも屈指の経験数となっております。これらの診療実績に基づき、日本肝胆膵外科学会・日本内視鏡外科学会の指定するロボット支援下膵臓手術、肝臓手術(区域切除以上を含む)のプロクター(指導者)の在籍施設となっております。ロボット膵臓手術のプロクター所属施設は認定された2020年9月時点で全国10施設のみ(近畿圏では唯一)、肝臓手術は認定された2022年6月時点で10施設のみ(うち区域切除以上を含む施設は2施設のみ)でした。当センターは手術支援ロボット・ダビンチによる膵臓、肝臓手術の指導施設にも指定されており、これまで、全国から30施設以上の外科医が手術見学のために当センターを訪れています。

手術支援ロボット・ダビンチ

4)近年、世界中で急増している炎症性腸疾患(IBD: 潰瘍性大腸炎やクローン病)症例の診療力強化を目指して、特別なIBD診療体制を構築しています。具体的には、IBD診療専門医・指導医、大腸・肛門外科医、放射線科医(消化管領域専門)、ストーマ(人工肛門)外来専任看護師、管理薬剤師、管理栄養士、ソーシャルワーカー(社会福祉士)、難病申請などに関わる選任医療事務担当者などが相互に協力する『IBDチーム』としての医療を提供しており、IBD患者さんの複雑な病態と数多くの悩みに対応できる最高レベルの医療体制をこれからも充足して参ります。なお、当センターは日本炎症性腸疾患学会によるIBD診療指導施設に認定されており、複数の治験(保険承認前の新規薬剤も使用可能)を実施している他、厚生労働省難病調査研究班による数多くの臨床研究にも参画しています。

IBDチーム

5)現時点で保険承認されている薬剤には限りがあるため、様々な難病に立ち向かうに際には、時に手詰まりとなってしまう状況が存在します。そのような場合にも、近い将来において実臨床での使用が期待される新薬を、正式な薬事承認前に使用できることがあります。この仕組みを治験といいます。当センターでは、様々な疾患に対する治験を随時受け入れておりますので、ご興味をお持ちの方は担当医あるいは診療部長にお尋ね下さい。

6)他にも他の医療機関にない特徴がいくつかありますが、患者さん中心の医療を見据えて今後もさらなる努力を続けていきたいと思います。

対象疾患

潰瘍性大腸炎、クローン病、逆流性食道炎、食道潰瘍、食道アカラシア、食道胃静脈瘤、食道がん、慢性胃炎、胃潰瘍、ヘリコバクター・ピロリ感染症、胃MALTリンパ腫、胃ポリープ症、胃がん、十二指腸腺腫、十二指腸がん、感染性腸炎、腸結核、小腸がん、大腸ポリープ、大腸腺腫、大腸がん、消化管ポリポーシス、消化管悪性リンパ腫、ウィルス性肝炎(B型・C型肝炎など)、薬剤性肝障害、脂肪肝、肝嚢胞、肝膿瘍、自己免疫性肝疾患(自己免疫性肝炎、原発性胆汁性胆管炎、原発性硬化性胆管炎など)、急性肝不全、肝内結石症、門脈血行異常症、金属代謝異常による肝疾患、肝血管腫、肝硬変、肝細胞がん、肝内胆管がん、総胆管結石、急性胆管炎、胆管がん、胆嚢ポリープ、胆石症、胆嚢炎、胆嚢がん、急性膵炎、慢性膵炎、自己免疫性膵炎、膵嚢胞、膵臓がん、膵管内乳頭粘液性腫瘍、鼡径ヘルニア、腹壁ヘルニアなど

関連リンク

日本炎症性腸疾患学会HP 一般社団法人日本炎症性腸疾患学会 (jsibd.jp)

日本炎症性腸疾患協会HP 特定非営利活動法人 日本炎症性腸疾患協会 (ccfj.jp)

厚労省「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究班」HP 厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患政策研究事業「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」 (ibdjapan.org)

小中高校教職員にクローン病を知って頂くためのガイドブック CDguidebook_for_faculty.pdf (ibdnetwork.org)

小中高校教員に知っていただくための潰瘍性大腸炎ガイドブック UCguidebook_for_faculty.pdf (ibdnetwork.org)

子供のクローン病についての手引き (患児用保護者用

子供の潰瘍性大腸炎についての手引き (患児用保護者用

まんぞく君HP まんぞく君WEBSHOP(manzokukun.com)

お問い合わせ先

奈良県総合医療センター 事務部財務課
TEL:0742-46-6001
研究等に関する情報公開

紹介して頂く先生方へ

外来診療につきましては、消化器内科、消化器外科、放射線診断・治療科ともに診療予定表を参照してください。毎日対応しております。 平日昼間は☎0742-46-6001(代表)にお電話を頂き、医師(曜日別の担当医制)を呼び出して頂ければ直接相談が可能です。

消化器センター長(消化器内科部長兼任) 守屋 圭

副院長(消化器・肝胆膵外科) 高 済峯

消化器・肝胆膵外科部長 中川 正

内視鏡部長 松尾 英城

胆膵領域内科部長 永松 晋作

放射線科部長 髙濱 潤子

消化器領域IVR専門医 前田 新作

消化器領域IVR専門医 正田 哲也

診療体制について

予約診療だけでなく、救急疾患にも24時間対応しています。
重症膵炎、急性胆管炎、胆嚢炎、上下部消化管出血など、いつでもご連絡ください。
TEL:0742-46-6001(病院代表)24時間繋がります。

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